【高校生向け】大学入試までに必ず読んでもらいたい小説5選+α

2013年09月28日 コラム

 

中学生におすすめの小説」の続編です。高校生へのおすすめの小説を紹介いたします。
高校生の方は、だいたいが授業で読んだことがあるものだと思われます。が、「教科書に載る」ということがいかに偉大なことなのかを意識しながら、改めて読んでほしいと思います。
大学受験の勉強が始まる前に、なるべく読んでおきたいものばかりです。

選考基準ですが、中学生におすすめする際に重視していた「読みやすさ」は、そこまで重視しないことにしています。同時に、大学受験に向けた選考となっています。
① 教養となるもの
② 大学受験に役立つもの
③ 読みやすさ
上記が優先度です。

それでは紹介に移ります。

1、 近代四大文学
近代四大文学は系統が近いので、一つとしています。
① こころ/夏目漱石

高校生のみなさんは中間テスト等で苦労したのではないでしょうか。
この作品に潜む近代社会の絶望が、終わることない論理の連鎖として作品世界をはみ出して現実世界にまで及んでいます。漱石の絶望を読み取れるかが重要です。
生きる上で避けられない人間存在の苦しみを漱石と考えましょう。

② 舞姫/森鴎外

東大医学部を12歳で合格した天才。しかしそれゆえの苦悩があり、その発散の場としての文学は、浪漫的な雰囲気と日本の伝統を継承した雅文体の文章がマッチしていて非常に美しいです。漱石との二大巨峰として有名です。
「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」。森鴎外を否定し、森林太郎を肯定する鴎外の苦悩を読み取り、救ってあげられるのは、読者となるみなさんだけなのです。

③ 走れメロス/太宰治

「走れメロス」はメロスとセリヌンティウスの友情の物語…と学校では教わります。しかし僕には太宰が描く物語がそのような陳腐なもので留まるとは思えません。
「メロスは激怒した」。この一行から始まる物語に込められた太宰のメッセージを
読解してみましょう。日本人の本質を鋭く突いた短編小説。

④ 羅生門/芥川龍之介

にきびを気にする男(=青年)の内面と、男の見えない未来を書き出す短編です。
漱石から引き継いだ、現実まで染み出る近代の絶望はどこに向かうのでしょう。実際に「ただぼんやりとした不安」を抱えた筆者は自殺しました。
「下人の行方」は、誰も知らないのです…。

2、 小僧の神様/志賀直哉

小説の神様と称された、白樺派の代表的作家・志賀直哉の作。
「僕が志賀さんの文章みたいなのは、書きたくてもかけないと言った。そして、どうしたらああいう文章が書けるんでしょう」
「文章を書こうと思わずに、思うままを書くからああいう風に書けるんだろう。そうして、俺もああいうのは書けない」
これは芥川龍之介と夏目漱石の会話だそうです。この二人にこれほどのことを言わしめ志賀の文章は一読の価値あり。中でも僕の好きな、当時の社会状況を鮮やかに書き出した「小僧の神様」を選びました。「暗夜行路」「范の犯罪」「城の崎にて」などもおすすめです。

3、 弟子/中島敦

虎になった男の話「山月記」で知られている中島敦です。中島敦は若くして亡くなりましたが、豊かな漢学の知識を操りながら、格調高く、端正な文体で人間存在への懐疑を表しています。儒学の考察書としても有効だと思います。漢文の勉強にも利用できますので一石三鳥の効用です。
「弟子」は孔子とその弟子、子路の関わりを書いています。子路の純粋でとにかくまっすぐな孔子への敬意が美しいです。最終部の盛り上がりや力強さも、楽しむことができます。
三浦はどうしても月一くらいで読みたくなってしまいます。ストーリー性としてもおすすめ出来る一作です。

4、 檸檬/梶井基次郎

梶井基次郎も中島敦と同様、夭折した小説家ですが、緊張感の高い文体と美しい詩的表現は、高く評価を受けています。自らの身辺を題材として書く物語は、心境小説とも私小説とも異なる独自の小説です。
モノクロの情景とその中にたった一つ輝く檸檬の鮮やかさをありありと思い浮かばせる梶井の言葉遣いは、類まれなる才能を窺わせます。ストーリー性がないので、つまらなく感じてしまうかもしれませんが、何を表現しているか分かった時の心地よさは一入です。
檸檬所収の短編集をリンクつけていますが、檸檬以外でも「桜の木の下」や「愛撫」などつい嘆声を漏らすもの多数ですので、是非一読ください。

5、 アンナ・カレーニナ/レフ・トルストイ

ロシア文学の代表的作家であり、ドストエフスキーと二大で称される人物です。『戦争と平和』などでも知られます。
アンナ・カレーニナは何度も映画になっているので、そちらをご覧になってから見ると読みやすくて良いかと思います。上に挙げた志賀直哉は、この小説に対して「近代小説の教科書と言っていい」とおっしゃっていますし、同様にドストエフスキーは「芸術上の完璧」とまで言っています。
政府高官の妻アンナの不倫という一事から、人間は自分の欲求に素直で自由に生きるべきか、他人や何かのために生きるべきかといった根源的な問題をテーマにし、人間の生きるべき道を、独自のリアリズム表現で克明に描写しています。心理に対する洞察や言葉遣いも比類ないものです。

番外編
木馬の騎手/三浦哲朗
木馬の騎手
三浦不動の1位。中学生へのおすすめとしても、番外編としてご紹介いたしましたが、高校生には「必ず読め」と言いたい。センター試験で二度使われた小説家は、夏目漱石と三浦哲朗のみかと思います。
紹介文は前記事を参考にしてください。

同様に、リチャード・バック『かもめのジョナサン』、ドストエフスキー『罪と罰』、高橋源一郎『悪と戦う』、大江健三郎『飼育』、南木佳士『ダイヤモンドダスト』、三島由紀夫『金閣寺』、幅広くたくさん読むなら『365日のベッドタイムストーリー』…等。
高校生ならばとにかくたくさん読んでおけばいいと思います。普段から読んでいれば読むスピードは上がりますし、何とはなしに知識はつくはずだからです。

今回の選考基準は「教養となるもの」です。そのため読みづらく、難解なものが多いかもしれませんが、大学受験の際はもちろん、これから大人になるために役に立つはずです。

あの時読んでよかった、となることを期待します。

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進学塾メイツ

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